『正直...』,『原則...』

 学生のレポートを採点していると,話し言葉で書いてくる場合が多くなりつつあり,その点は指導する側の課題だと思いますが,漢字の間違いや文章表現を添削しながら気付いた,最近の言葉遣いの困った点について紹介します。
 話し言葉で書かれたレポートでは,結構な割合で,『正直...』という表現が見受けられます。初めは,『正直言って,...』と朱書して,単に文法的に正せばよいと思っていましたが,これでは文意が伝わらない場合が多いことがわかりました。
 『正直言って』という言葉のニュアンスは,建前では別のことを言っていても,『本当のところは』と打ち明け話しをしたいということですが,この意味のまま省略形で『正直』としている学生も僅かには存在しているものの,殆どの場合は『正直』を『本当に』の意味で用いているようです。
 例文を挙げれば,「他人のものを無断でコピーするのは正直許せない」のような用い方です。かつての流行り言葉で言えば『マジ』くらいの意味でしょうか。
 このような元の意味からずれた用い方もそのうち廃れるのかもしれませんが,例によって,現在はTVでもよく用いられているので,暫くは続くのかもしれません。
 なお,意味はずれないまでも,最近,20代から30代の方々の文章では,『原則...』という表現が増加しています。張り紙などで,『原則禁止』というような標語として,省略形(文章表現であれば,『原則として,禁止する』)で書かれるのであればまだしも,通常の文章では『原則として,...』と書くべきでしょう。この夏は選挙公報にまで,『原則...』という表現が用いられていたのには驚きました。

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